当相談室に来談されて心理面接を受けられる方が良くなっていく過程はそれぞれに違っていて個人差があります。時には一度の面接でスッキリ解消される場合もあれば、今の状態より少しづつ良くなってきているけれども、これで充分だなというところまで良くなるのに何年もかかる場合もあります。
なぜそのように個人差が出るかというと、まず人それぞに抱えている問題の大小(軽い重い)があります。例えば、対人恐怖症でも軽い場合は早く良くなりやすいし、重ければ時間がかかるわけです。けれどもそれだけではなくて、時が熟すると言われているように、来談された方がそれまでいろいろ悩んだりする中で次第に心の力(心の成熟性や洞察力)を付けてきていたがために一回の面接でタイミングよくパッと悩みが解消される場合もあるわけです。逆に悩みがそれほどでなくても当人の持っている心の力が弱い場合はなかなか良くならないということも起こりうるわけです。
このように、悩みが解消されるにはまず悩んでいる人の悩みの大小(重いか軽いか)と、その問題を持っている当人の心の力(心の成熟性や洞察力)の二つが関係します。そして、心理療法を受けて悩みの解消を図ろうとする場合には、そこに第三の要素としてカウンセラーの力量やクライアントとカウンセラーの相性が関係してくるわけです。
もちろん問題がかなり大変な場合でも、当人の心の力が強い場合にはカウンセラーに頼らなくても当人自身で解決して乗り越えていけるわけです。逆に力量がないカウンセラーや心の力を引き出してくれないカウンセラーと心理療法に取り組んでしまって、知的な頭だけの治療に終始してしまい堂々巡りに陥ったり、カウンセラーに依存心が強くなりすぎてしまったりして、良くなるもの良くならなくなってしまう場合も起こりうるのです。
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