カウンセラーの共感能力

 カウンセリングや催眠療法を受けてみたいけど、どのようなものかよくわからないし、はたして効果があるものなのか、どのカウンセラーや催眠療法家を選べば良いのか、、と迷われる方は数多くおられます。そのような場合の一助となればと思ってこのページを設けました。

 例えば催眠療法ですが、催眠自体は上手に用いればとても役に立つ心理技法となるもので、その技法的な側面はもちろん重要ですが、でもそれを用いる治療者が人間関係に精通している人かどうかでその効果はずいぶんと違ってくるのです。

 魔術的な効果を宣伝する治療者は論外ですが、それでなくても催眠療法家の中には催眠療法に関する勉強や訓練しかやってきておらず心理療法の基本である、よりよい人間関係を築いていく方の勉強や訓練ができていなくて未熟なために、クライアントと心を開いた信頼関係を結ぶことができない治療者がいます。

 このような治療者の場合、クライアントの心の動きに対応しきれなくなりますから、その催眠療法面接は心に響かない形ばかりのものとなってしまいます。また中には的を外れた治療法を一方的に押しつけてくる治療者となる場合もあります。

 これはその他の様々な心理面接方法でも同じことがいえて、全ての心理療法が治療者とクライアントのよりよい信頼関係が育っていく中でしか成功しないと言い切れます。

 もう少し具体的にいうと、カウンセラーや催眠・心理療法家がまず一番に必要なのは、通じ合う関係を築き深めていていくためにとても大切な、人の(クライアントのその時々の)気持や考えをよく解かっていく共感能力です。

 この共感能力が治療者にしっかりあれば他の心理技法や心理学理論などたいして必要ないくらいのものです。

 これがないと、クライアントの気持や考えとズレが起こって噛み合わなくなってくるので、治療者がいくら熱心でも、またいくら凄い催眠技法や心理技法や素晴らしいアドバイスを持っていて、それを用いたとしてもクライアントにはシックリ来ない場合が多くなるばかりで、役立つものも役立たなくなるのです。

 ところで今まで言ってきたことと矛盾しそうな話しですが、もう亡くなられてしまったけれど、私の大好きな臨床心理学者・河合隼雄氏がどの本だったかは忘れましたがその著作の中で「人の心はなかなか解らないものだということを、よわかっているのがカウンセラーである」と言っています。

 簡単には解らないのだから腰を据えてカウンセリングで話しをよく聞いていこうとすることができるのだといえますが、その時、カウンセラー(治療者)が、ありのままであって、クライアントにも自分自身の内面にも心が開かれている人であればあるほど、クライアントも無意識のうちに心がほどけて自然に話しをしやすくなるし自分を出しやすくもなります。

 そして正直に率直に話しができるなら治療者とクライアントとのズレは少なくなるし、その修正もしやすくなるわけです。

 ですからクライアントとして自分に合った良いカウンセラーや催眠治療者を見つけようとするときはまず、「わかってくれるなあ」と思える人。それと、その時々の気持や考えや本音を自然に出しやすくなるような「話しをしやすい」人かどうか、というところに気をつけて捜されることを強くお勧めします。

参照ページ

コメント

タイトルとURLをコピーしました