箱庭療法は今から50年近く前に河合隼雄先生がユング心理学研究所に留学中に、ドラ・カルフ女史と出会い、彼女が「砂遊び療法 Sandplay Therapy」として行っていたものを日本に紹介したのが始まりです。
箱庭療法は縦57㎝横72㎝高さ7㎝の内側がブルーに塗られた木箱の中に砂が入っている中で行います。その砂の入った箱の傍にはさまざまな、おもちゃやミニチュアの建物や動物、植物、その他のアイテムが棚に置かれていたりします。それらをこの砂箱の中に、自分の気に入るように置いてみるのです。また時には砂を水で湿らせてからその砂をいろいろに造形される方もいます。
心理療法ではどんな技法でも無理に用いては役立ちませんが、箱庭も同じです。やってみたいなと思った時にやると役立つのです。作ってみて「面白かった」「何かスッキリした」と言われる方もいますが、作るのがおもしろくなるほどに役立つのが箱庭療法です。
そのようにして作成された箱庭療法には、心の深層にあって言葉では伝えきれないようなものが自然に表現されます。それを見るだけで説得力があるわけです。作り終えた後で、自分の作品をあらためて見なおしてみる時に、気づきや発見があったりもします。
また「これを作ったら何が解りますか」と聞かれる方がいます。それは箱庭療法を心理テストの性格診断のように思われているからですが、箱庭療法はあくまでも治療のためのものです。クライアントが遊ぶような心持ちで作っていると、知らないうちに自然治癒力が活性化されて、それで良くなっていくのです。箱庭の中に心の深層が象徴的に表現されて発散され、かつ整理されていくのでクライアントの問題解決に役立つというわけです。
幾度かそうして、おもしろく自分の感じにできる範囲でピッタリするように箱庭を作っていくうちに、心の深層の調整も進んでいきます。話すのが苦手な人でも、マイペースで箱庭を好きなように作っていくことで治療が進みます。
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