箱庭療法学会大会に参加して

 10月15,16日と箱庭療法学会25回大会が有楽町の東京国際フォーラムで開催された。

 箱庭療法学会大会は年一回2日間の開催日程で持ちまわりで周っているのだ。遠征してまで参加するのがキツイ貧乏所帯な私にとって、心待ちのしていた通いで行ける箱庭療法学会大会なのである。春にはすでに参加予約してこの日を楽しみにしていたくらい。でも私の大好きな河合隼雄先生が2007年に逝去されてからはじめてになるので、行っても河合先生は居ないんだなと思うと寂しさが通り抜けたりはした。

 久しぶりに参加してみると今回は参加人数が以前よりかなり少ない感じだった。箱庭学会会員は増え続けて2000人以上みたいだし今年から学会誌の発行は年2回から3回に増えるくらいに盛り上がっているのに?今回の大会だけが少なかったのかも。でも、もしかしたら関東方面が減ってきている兆しなのかなぁ。

 パネリストの「乾先生」は精神分析学派の立場から、また「川戸先生」はユング派分析心理学の立場からであるが、力動精神療法は言語化してアピールしないと遅れをとってしまうなど危機感の話題から日本の心理界で両学派が手を組んでいく接点はないものかなどとの話も出た。この公開シンポジウムが大会の目玉なのだが今回はパネリストが2人で少なかったり、事例提供者が後出しだったししたのでアピール度が弱くて参加者が少なかったのかも。でも精神分析学派から来ていただいた乾先生は正直でユーモアもあって良い人柄しててとても素敵だった。

 初日に分散されて行われるワークショップの方は山中康裕先生のに参加してそれはすでに前回に書いたが、2日目の三つ参加できる研究発表検討会の中の最後にも山中先生が指定討論者になっているのがあった。他に予定されている先生方の講義にも目移りする中で私は「山中先生は70歳の御年だし(まぁ私も60歳だけど)お目にかかれるのは最後になるかもしれないから」と山中先生の講義に再度参加することに決めた。

 でも山中先生のセッションに参加して正解だった。終了後にトイレの所にいた若い男性に「山中先生、歳はお幾つなのかしら?」と聞いたら、その男性が「私が卒業するときに還暦だったから今は70歳くらいです」「パワフルだねぇ、、」「前よりそうでした。元気もらいました」と言っていた。河合先生が亡くなってそのぶんをガッバっておられるのか、はたまた自由になってのびのびやりたい放題なのかはわからないけど。ホントに凄かった。私も元気もらった。

 何よりも素敵なのは山中先生のクライアントを思うそのハートだ。山中先生が話している途中から私は感動でしばらくは涙出し続け状態でした。そういえばもうかなり昔に、同じ箱庭療法学会大会に参加したと時にも同じ感動をしたことがあった。それは事例提供者が話した事例についてパネリストとなった箱庭療法学会の先達数人が壇上でコメントし合う公開シンポジウムの場だった。もう良い歳をした大の大人、それも大学教授という社会的に立場の高い人達が、口から泡を飛ばさんばかりになって、その事例のクライアントである一人の子供に入れ込んで、夢中に討論している姿がとても新鮮だった。

 今回はその時のパネリストの一人であった山中先生だけだったが、でも先生から響いてくるそのクライアントを思う情熱は私の何倍も強かった。技法よりも何よりもホントにホントに大切な物を教えてもらった。

東京国際会フォーラム

箱庭療法学会25回大会があった東京国際フォーラムの中庭の写真です。

 箱庭療法学会大会の様子などは秘密保持のためもあってに写真は撮れませんでした。

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